“優しさ”と“葛藤”第2話「今日は晴れですね」

友達との楽しい会話 「揺れる心に寄り添う物語」

第2話「今日は晴れですね」―本当は雨の日

「今日は晴れですね」
その言葉に、利用者さんはふわっと笑った。
「そうですか。じゃあ、洗濯物も乾きますね」
そう言って、ベッドの上で小さく頷いた。

本当は、雨だった。
窓の外は灰色で、地面は濡れていた。
でも、私はあえて“晴れ”と言った。

理由は簡単だった。
その方は、雨の日になると気分が沈みがちだったから。
「雨の日は、昔のことを思い出してしまって…」
そう話していたのを、私は覚えていた。

だから、今日は晴れにした。
ほんの少しでも、気持ちが軽くなるなら。
ほんの少しでも、笑顔が見られるなら。

でも、ふと考える。
これは“嘘”なのか?
それとも“思いやり”なのか?

介護の現場では、こうした小さな選択が日常に溢れている。
正直であることと、優しさを優先すること。
その間で揺れる気持ちは、誰にでもある。

「今日は晴れですね」
その言葉が、誰かの心を少しでも晴らすなら―
私は、またそう言うかもしれない。


この話は介護施設に勤務、していた従事者たちの声です。笑って悩んで考えて、苦戦した日々を思い出します。

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