「おばあちゃん、それ、おでんじゃないよ」音声で聴けるシリーズ

友達との楽しい会話 「音声で聴ける」

シリーズ4「おばあちゃん、それ、おでんじゃないよ」

その日、私は少しイライラしていた。
朝からバタバタして、洗濯も終わらず、母のデイサービスの準備もギリギリ。
「もう、なんでこんなに毎日余裕がないんだろう」
そんな気持ちを抱えたまま、母の部屋に入った。
すると、母がにこにこしながら言った。
「おでん、煮えてるよ」
え? と思って台所を見に行くと——
そこにあったのは、洗面器に浸かった靴下だった。
「おばあちゃん、これ…おでんじゃなくて、靴下のつけ置きだよ」
そう言った瞬間、母が「えっ!?」と目をまんまるにして、
ふたりで顔を見合わせて——
笑った。
声を出して、涙が出るほど笑った。
その笑いは、どこか懐かしくて、あたたかくて、
私の中のイライラを、ふわっと溶かしてくれた。

あなたへ

介護の毎日は、正直しんどいことも多い。
でも、ふとした瞬間に、笑いがすべてをやさしく包んでくれることがある。
それは、きっと「がんばってるね」の代わりに届いた、
神さまからのご褒美なのかもしれませんね。

「チームの中の小さな光」音声で聴けるシリーズ
介護の仕事は「一人ではできない仕事」。けれど、チームでいるからこそ悩みや衝突もあります。そんな中で見える“支え合い”と“信頼の芽”を描いた、心あたたまる語りです。 介護職員のあなたへ 〜心を癒す語りべ〜 第4回:「チームの中の小さな光」 お...